「罪と罰」第四部・第五部のまとめ

通勤時間帯に読んでいる「罪と罰」(ドストエフスキー著 工藤清一郎訳 新潮社)下巻も半ばを過ぎ、いよいよ物語が終盤を迎えるところまできました。悪名高い高利貸しの老婆とそこに居合わせた妹を殺害した元大学生のラスコーリニコフ。罪の意識と幻覚に悩む彼を取り巻く人々の動きが克明に描かれて、それら人々の関係性を構築しながら物語は展開していきます。成金のルーチンはラスコーリニコフの妹の婚約者として登場しますが、胡散臭い人物で、ラスコーリニコフに素性を見破られてしまいます。退職官吏マルメラードフは飲み屋でラスコーリニコフと親しくなり、悲惨な家族の話を聞き、その娘のソーニャが娼婦に成り下がっていることを知ります。その後、マルメラードフは馬車に轢かれて死んでしまいます。予審判事ポルフィーリイがラスコーリニコフに事件の探りを入れる場面があって、これからの展開を予感させます。さて、そこで第四部ですが、ルーチンとラスコーリニコフの妹が破談になり、ラスコーリニコフがルーチンの恨みを買う場面があります。ラスコーリニコフはソーニャに魂の救済を求め、聖書の朗読を頼み、一度は自首を考え、ポルフィーリイの元へ出かけますが、別の犯人が自首してきて事件が困窮するところで第四部は終わります。第五部はマルメラードフの葬式の場面です。同じアパートに逗留していたルーチンの策略でソーニャが金銭泥棒に陥れられそうになるところをラスコーリニコフに救われます。ラスコーリニコフは悲惨な境遇でも気丈に振る舞うソーニャに、自ら殺人の罪を告白し、ソーニャとの深い魂の関係が描かれたところで第五部は終わります。いよいよ最終の第六部を迎えることになりました。

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.