「父が消えた」を読み始める

「父が消えた」(尾辻克彦著 河出書房新社)を購入したのは、千葉市立美術館のギャラリーショップでした。「赤瀬川原平の芸術原論展」を開催していて、それを見たときに、前衛芸術家赤瀬川原平氏が尾辻克彦という別名で出版した同書が芥川賞に輝いたことを思い出しました。版画家池田満寿夫氏が芥川賞を取ったときは、すぐその書籍を買って読んだ記憶があります。今回も同じ動機でした。造形作家による小説、これはきっと面白いに違いない、なぜなら作者の感覚が反映されているからと思っているのです。文庫本になった同書を買ってみて気づいたのは、これは短編が5つ収まったもので、「父が消えた」はそのひとつでした。赤瀬川氏は自分の出身学校の先輩にあたる人なので、そのあたりのことも小説の中に出てくるかもしれないと期待しながら頁を捲っていきたいと思います。以前、同著者による「老人力」を読んで、その着眼点と面白さにワクワクしました。この飄々として乾いた感覚はどこからくるものだろうと思ったこともありました。通勤の友としては最高に楽しめるものではないかと思います。

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