11月RECORD「覗き穴から凝視する宇宙」

11月のRECORDのテーマは「覗き穴から凝視する宇宙」にしました。つまり「穴」です。小さな穴から深淵を覗き込むイメージが頭を過ぎり、深淵には何かが蠢いていて、その好奇的趣味を描いていこうと思っています。今年のRECORDのテーマもあと12月を残すだけになりましたが、不気味さや不安が漂うテーマが多いように感じています。幾何抽象を用いることは、今年に限っては無いのではないかと思います。自分の心情が情状的になっているのかもしれません。何か得たいの知れない生命体を描きたいし、またそうしたグロテスクな血塊を吐き出したい欲求があるのです。ただ自分の自然に沸きあがる感情を、極端に操作しようとは思っていません。感情以上にデフォルメしたものを描いてしまうと、嘘偽りになってくるし、寧ろ戯画化したことで技巧ばかりが目立つ結果になりかねません。超幻想世界を可視化することは、自分にとって難しいことと常日頃から感じていて、あまり具象絵画に近づかないようにしているのです。描いたものが説明的になることも怖れています。そんなことを考えながら今月のテーマに取り組んでいきます。

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