横須賀の「ヨーゼフ・ボイス展」

横須賀にあるカスヤの森現代美術館で「ヨーゼフ・ボイス展」が開催されていました。ボイスの作品は見てすぐ分かるものではありません。展示されていたモノは、自己表現するにあたってボイスが発想し、制作またはパフォーマンスの行為をした残像や遺物のようなモノで、在りし日のボイスの足跡を伝えています。社会全体に向かって発信された造形としての思想は、価値を問うモノだったり、環境保護を提案するモノだったりしています。ボイス自身が語っている次の言葉がボイスの作品を解く手がかりになります。「発展過程としての彫刻 ひとはみなアーティスト わたしが彫刻を仕上げて、固定した状態にしないのはそのためだ。ほとんどの作品は化学反応、醗酵、色の変化、腐敗、乾燥といった過程の中にある。」(K・ティスドールによる聞き取り)自分が展示の中で印象的だったのはボイスの足を石膏取りした作品です。造形作家若江漢字氏が滞独中にボイスと共作したこの作品を巡って一冊の書籍にしているので、自分は既読しています。もちろんオリジナルを見るのは初めてで、仏陀の足形のようで楽しい作品でした。鉄製シャベルを撮影したポスターが気に入ったので、一部いただいてきました。これを額装しようかなぁと思っています。

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