三連休 情報を求めて…

三連休初日である今日は、3つの美術館へでかけた後、東京新宿にあるミニシアターで映画を観てきました。過密なスケジュールでしたが、充実した一日が過ごせました。たまたま家内に演奏の予定が入っていたため、今日は単独行動になり、まるで学生時代のような東西奔走をやってみました。まず朝7時半に自宅を出て、東京の西高島平にある板橋区立美術館に行きました。横浜の旭区から2時間の道のりで、これは遠いなぁと思いましたが、「種村季弘の眼」展はどうしても見たかった企画展だったので満足でした。ドイツ語圏のファンタスティックリアリスムやマニエリスムの芸術家を論じた評論家として種村季弘は自分の中で重要な著述家でした。選抜された芸術家のオリジナル作品が見たいと思っていたので、長い移動時間は苦になりませんでした。次に向かったのは両国にある江戸東京博物館で「発掘された日本列島2014」展を見てきました。自分の作品は「発掘シリーズ」として現代の出土品と評されることもあって、これは全国の発掘現状を知り、古代出土品の実物を見てこなくてはならないと思ったのでした。出品されていた大きめの縄文土器に改めて感動を覚えました。以上前述した2つの展覧会の詳細な感想は日を改めて書きたいと思います。3つ目は六本木にある東京国立新美術館で開催中の「二科展」に行きました。これは彫刻部門に自分の後輩が出品しているのを見るためで、彼は自分と同じ二束の草鞋生活を送りながら頑張っている作家なのです。今年彼は賞を頂いていました。学習机の天板を並べ、そこに波紋や水が撥ねたような状態を木彫していました。机という日常から新象風景へ導く意外性があり、木材を水に置き換える素材の変容が見事でした。今まで彼の作風は、絡み合う凝縮した生命の根源を求めるものが多かったように記憶しています。今回は広がりを狙った世界であり、彼の作風が確実にステージを上げて、大きな空間を獲得しているように思えました。凝縮と拡散双方の世界観が、今後どう折り合いをつけていくのか、とても楽しみな作家です。そして最後に新宿に辿り着きました。午後3時を回っていましたが、昼食をとるのを忘れていました。新宿の雑踏の中でカウンターの食堂を見つけ、腹ごしらえをしました。新宿では新宿シネマカリテで上映中の「大いなる沈黙へ」を観ました。この映画に臨む自分の姿勢は、溢れる情報や物質の中に曝される自我をリセットし、自分が真に必要とするものは何か、自分にとって創作とは何かを問い直すことがありました。厳格な修道院での寡黙な修道士の生活を捉えた3時間近くに及ぶ映像は、自分に何を齎すのでしょうか。ナレーションなし、照明なし、劇伴音楽なし、修道院に入れるのは監督一人だけという条件で撮影された余りにも独特な映像作品。上映後、静かな感動を覚え、帰路は呆然としてしまいました。詳細な感想は後日にします。

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