ア・プリオリな空間存在
2014年 9月 5日 金曜日
ア・プリオリとは先験的・先天的な経験に先立って与えられている認識や概念のことを言います。語源はラテン語で反語はア・ポステリオリです。「存在と時間Ⅰ」(マルティン・ハイデガー著 原佑・渡邊二郎訳 中央公論新社)の中に空間を存在論の中で捉えようとする箇所があり、注目しました。「空間は主観の内で存在しているのでもなければ、世界が空間の内で存在しているのでもない。むしろ空間は、現存在にとって構成的な世界内存在が空間を開示したかぎりにおいて、世界の『内』で存在している。空間が主観の内で見いだされるのでもなければ、また、主観が世界を、『あたかも』世界が一つの空間の内で存在している『かのように』考察するのではなく、むしろ、存在論的に十分によく了解された『主観』、つまり現存在が、空間的なのである。空間はおのれを、ア・プリオリなものとして示すのである。~略~ア・プリオリ性とはここでは、道具的存在者がそのときどき環境世界的に出会われることのうちで、空間『法域としての』が出会われることの先行性のことなのである。」家を建てたり、土地を測量したりすれば、そこの空間は現存在(私)の眼差しに入ってきます。ただし、純粋計量的空間学にいたる考察は、ここで主題にするのではなく、純粋空間の主題的暴露等置かれている現象的地盤が主題であるとハイデガーは断定しています。いずれにせよ空間の存在論的解釈をじっくり読み込んでいこうと思います。
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Tags: ドイツ, 書籍
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