「保田龍門・春彦 往復書簡」読み始める

随分前に武蔵野美術大学出版局より購入しておいた「保田龍門・保田春彦 往復書簡1958ー1965」をやっと読み始めました。以前のNOTE(ブログ)に、携帯できない大きな書籍は職場に持ち込んで仕事の合間に読むという主旨のことを書きましたが、これがこの「往復書簡」のことで、大きさはA5版で厚みは3.5㎝ほどあります。手紙形式なので大変読みやすく、つい仕事そっちのけで読み耽ってしまうのが玉に瑕ですが、自分にとっては面白いものであることは間違いありません。自分も滞欧していた経験があるので、一層面白みがあるのかもしれません。保田先生は当時船旅でフランスのマルセーユに着いたようで、渡航に時間がかかったことが立ち寄った各国の港の感想によってよくわかります。指揮者小澤征爾氏が著した「音楽武者修行」にも同じような経験談が掲載されていたことを思い出しました。自分も渡航前に小澤征爾氏の同書を読んで、ヨーロッパで学ぶ意義を確かめていたのでした。保田龍門氏はご子息の春彦氏にフランスでの学ぶ意義をさまざまなカタチで授けていて、父が同業者である羨ましさを私は感じました。その反面難しいところもあるのでしょうが、それは当人でなければわからないものでしょう。職場で休憩時間に読むので時間はかかりますが、楽しみながら読んでいきたいと思います。自分の校務を忘れないようにしながら…。

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