アンフォルメルについて

アンフォルメルはフランス語で「非定型芸術」を指します。第二次大戦による破壊や大量虐殺で人間性を失い、不安定な状況の中で登場したものです。所謂広義な意味での表現主義で、1940年から50年に至り、芸術家はデビュッフェやフォートリエ、ヴォルスに代表されます。日本でも影響を受けた画家もいました。有名なところではフランス在住の画家今井俊満ですが、自分が高校時代にデッサンの手ほどきを受けた佐々木四郎先生もその一人でした。佐々木先生は鋭利な黒い太線が画面下方から立ち上がる明快な絵画構成で知られた画家です。一部アンフォルメルの影響が残る部分があったことを記憶しています。アメリカではJ・ポロックに代表される抽象表現主義があって、フランスのアンフォルメルとの前衛争いがあったとどこかで知りました。いずれにせよ自分がまだ生まれていない時代の活気に満ちた芸術運動で、迸る絵の具をエネルギーの発散と看取る若々しい精気に溢れたものであったことは疑う余地がありません。

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