上野の「バルティス展」

先日、東京上野の都立美術館で開催されている「バルティス展」に行ってきました。テレビやポスターの宣伝効果があって、自分もあまり知るところがなかった巨匠の作品を一目見ようと出かけたのでした。露わなポーズをとる少女を描いた絵画や、日本人の奥さんがいることは前から知っていました。ただ20世紀のシュルレアリスムや抽象主義等の画家に比べると、自分の中での知名度は高いとは言えないのでした。今回まとまった作品を見て、バルティスは力量のある芸術家であることは間違いなく、静謐で緊張感のある画面から漂う美しさに魅了されました。危うい均衡の上に成り立つ美というフレーズをどこかで読みましたが、物憂いな少女の肢体がスラリと伸びた室内画に不思議な雰囲気がありました。晩年は奥さんをテーマにしたものがあり、日本の浮世絵に通じる構成が垣間見えました。親日家だったバルティス。実は身近な存在だったことを改めて知った展示内容でした。

関連する投稿

  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 横浜そごうの「いのくまさん」 先日、出張先から帰る途中に横浜駅で楽しいポスターが目に入りました。平仮名で「いのくまさん」と書かれ、落書きのような猫の群像があって、思わず横浜そごう美術館に足を運んでしまいました。それは画家猪熊弦一 […]
  • 土練りのあと美術館へ… 成形に使う陶土がなくなり土練りをしました。陶彫は土を単身ではなく複数の土を混ぜて使っているのです。近々新しい土錬機が来るので、今使っている土錬機最後の仕事かもしれません。自分と懇意にしている陶芸業者 […]
  • 週末 個展終了して美術館巡りへ 昨日、ギャラリーせいほうでの私の個展が終了しました。反省はいろいろありますが、ともあれホッとしたことは事実です。個展開催中は自分が会場にいなくても気がかりでなりませんでした。やはり終わってみると一抹 […]
  • 三連休 東京の美術館巡り 三連休の中日です。今日は朝から東京の美術館巡りを行いました。一昨日NOTE(ブログ)に美術鑑賞に対する思いを書きましたが、今日はその実践日でした。巡った展覧会は4つで、いずれも表現が異なる先人達の精 […]

Comments are closed.