奈良の「鎌倉の仏像」展

出張最終日となり、今日は奈良に行きました。久しぶりに訪れた奈良公園は相変わらず観光客が大勢いました。仕事の合間に戒壇院に行き、四天王像を見てきました。塑造された勇猛な姿に暫し時を忘れました。奈良国立博物館で「鎌倉の仏像」と題する展覧会を開催されていたので、ここも見てきました。自分は神奈川県に住んでいるにも関わらず、鎌倉時代の仏像がまとまって見られるとあって、いい機会を頂いたと思いました。鎌倉時代の武家文化の特徴は質実剛健であり、写実性が重んじられたことが有名です。運慶・快慶を中心とするリアリズムの追求があり、とりわけ肖像彫刻に見られる人物の風貌に驚くべき迫真性を感じました。頂相(ちんそう)とは禅僧の肖像画を指す語で、やがて彫像も指すようになり頂相彫刻と呼ばれたようです。自分は20代初めに大学で人体塑造を学びました。所謂西洋彫刻の神髄を学習していた訳で、飛鳥時代から始まる仏像とは異なる表現形式でした。それが鎌倉時代で写実表現になり、自分の感覚が刺激されました。私は運慶・快慶を窓口にして仏像彫刻に興味を持ったと言っても差し支えありません。そんなことを思いながら「鎌倉の仏像」展を見て回りました。

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