京都の「高橋秀」展

2泊3日の関西出張の2日目です。仕事の合間に平安神宮の近くにある京都市美術館で開催されている「高橋秀 気への形象」展を見てきました。高橋秀氏は早くから安井賞画家として出発し、長きに渡ってイタリアに在住していた画家で、私も学生時代から抽象的な画風を知っていました。オリジナル作品を観るのは今回が初めてでした。大画面に単純明快な構成とよく練られた色彩。最近作は金箔・銀箔を多用し、そこにドリッピングしたアクリル絵の具を用いて、どちらかというと日本の伝統的な感性を刺激する要素に溢れた作品群でした。厚板を加工し、そこにカンバスを張って大きな画面を作って平塗りを施す、という制作工程は絵画というよりレリーフに近いもので、筆致を排除した乾いた潔さを感じさせてくれます。イタリアの風土からの影響もあるかもしれません。陽のあたる道を邁進してきた84歳の現役画家の枯れることのない豊潤な世界を今日は堪能しました。

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