風がさざめく風景

比較的小さな陶彫に「陶紋」と称する作品があります。毎年個展に出品していて、手ごろに購入していただける作品です。その「陶紋」は図録撮影の前になるといつもカメラマンに貸し出します。野外撮影していただくためで、自分の意向を充分理解しているカメラマンだからこそ出来る撮影手段です。今回の「陶紋」は直方体4体。先日の図録撮影の際、出来上がってきた画像を見て、数多い中から1点を選びました。選抜方法は工房スタッフの多数決にしました。カメラマン任せ、スタッフ任せの「陶紋」画像選択です。自分は被写体となる彫刻は作るけれど、画像はいろいろな人の感性で選んでいきたいと思っています。最終段階でいろいろな意見を聞いたほうが面白い世界が出来るのです。結果、「陶紋」を画面の左端に置いた風景写真に決まりました。線状になった草々が靡き、その中に見え隠れする「陶紋」。風がさざめく風景として詩情を醸し出しています。これは彫刻を撮影したものではなく、広い草原の端に小さな彫刻が点在するため、主たるテーマは風や草になり、従として彫刻があるといった感じです。カメラマンの感覚に頼ることで、自分が求めるまさに他者の感覚が入り込んだ豊かな世界になっています。

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