「夜と霧」新版を読み始める
2014年 4月 18日 金曜日
「夜と霧」(ヴィクトール・E・フランクル著 池田香代子訳 みすず書房)を読み始めました。タイトルに新版としたのは、本書には旧版があるためです。霜山徳爾訳の旧版はあまりにも有名なので私も知っていましたが、今回の新版には年代を経たからこそ可能になった新たな解釈が導入されているようです。ここに来て、どうしてユダヤ人捕虜収容所の体験記を読みたくなったのか、読書歴がショーペンハウワーからニーチェの著作に移った後、ちょっと哲学を離れてみたくなったものの、何か厭世主義的な傾向が頭に残り、そこに永劫回帰がやってきて、さんざん読んだ形而上の思索より、具体的な厭世を垣間見たくなったのかもしれません。具体的と言っても自分の成育歴とは環境が違いすぎて、戦争当時のアウシュヴィッツやその周辺にあった捕虜収容所の様子を知ることは不可能に近いと考えます。でも、たとえ実感できなくてもそれなりのイメージを持ち、負の遺産を受け入れることはできるのではないかと思います。自分はポーランドのアウシュヴィッツには行ったことがありません。自分が20代に滞欧していた時期は、米ソ冷戦時代最後の頃でした。チェコやハンガリー、ルーマニアには行っていたもののポーランドに足を伸ばすことはありませんでした。少し無理をしても行っておくべきだったかなと思っています。ともあれ本書を読んで、極限状態にある人間の悲劇を考えたいと思います。