93歳の恩師からの手紙

私の中学校時代の恩師から手紙をいただきました。恩師は担任で美術科教諭だったので、美術が好きだった私は授業でも丁寧な指導支援をしていただいていました。絵画の授業で、水彩絵の具を思い切り画面に擦りつけて樹木を描いていたら「あなたの絵はゴッホみたい」と評されて、私は有頂天になりました。私にとっては忘れられないエピソードですが、そんな93歳になる恩師がまだ健在で、どうやら介護住宅で暮らしていることがわかり、恩師が健やかに過ごされていることを思い浮かべ、大変嬉しく思いました。ゴッホに触発されたのは版画家棟方志功と同じで、そこから芸術家一直線といきたいところでしたが、私は紆余曲折して、高校時代に建築家から工業デザイナー、そして彫刻家と志望が変わり、現在にいたっています。しかも彫刻家では生計が立てられず、ずっと二足の草鞋生活ですが、私のもうひとつの職業の異動に伴う新聞発表があって、それが恩師の目にとまったのでした。私自身も定年を意識する年齢になりました。恩師の年齢まで自分は創作活動ができるのでしょうか。美術に長く関わっていたいと感じさせる恩師からの貴重な手紙でした。

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