「魅惑のニッポン木版画」展

先日、横浜美術館で開催されている「魅惑のニッポン木版画」展に行ってきました。錦絵から現代に至るまで、日本の木版画は優れた表現と技術を持っていると私自身考えています。改めてその水準の高さに納得しました。印刷物として分業システムが充実していた江戸時代から明治時代にかけて錦絵がその高水準を誇り、また創作版画が始まってからは、作家自らがあらゆる作業に関わって深い表現を会得しています。日本人の体質と木材は合うのでしょうか。小林清親や川上澄生の文明開化を匂わせる画風や棟方志功や恩地幸四郎の斬新な構成、北岡文雄のプロレタリア風の具象世界、さらに若い世代の桐月沙樹に見られる木目を生かした繊細な画風など、ひとつずつ作品を挙げたら際限がなくなってしまいます。自分は今になって銅版画に興味を持っていますが、かつて親しんだ木版画も、時間が許せばもう一度試みたい願望があります。木版画は何といっても摺りが気持ちいいと感じます。和紙に絵の具が染み通っていく感覚にハマってしまいます。そんな作品が220点以上も並んでいれば、自分の内なる力が漲っていくのを感じます。改めて版画好きな自分に気づきました。

関連する投稿

  • 「無名性の錬金術師」を読んで 昨日に引き続き、種村季弘著「断片からの世界」に収められている美術評論で、今回はE・フックスに関するものです。ウィーン幻想派画家として国際的な名声をもつフックスは、ウィーンの多く画廊で銅版画を展示して […]
  • 「パウル・クレー 東洋への夢」 表題の展覧会は、静岡県立美術館で開催されているもので、知人からチケットをいただいたので行ってきました。クレーはたびたびブログに書いている画家で、この巨匠に関する興味はずっと尽きません。自分は20代前 […]
  • カサット絵画におけるジャポニズム 19世紀から20世紀にかけてパリで印象派が活気を呈していた時代に、日本の浮世絵等がヨーロッパで紹介され、その画面の構成や色彩の象徴化に感銘を受けた芸術家が多かったのは美術史が示すところです。横浜美術 […]
  • 連休前に思う今夏のあれこれ 明日から三連休。その後も職場は夏季休業を取る人が増えてきます。8月の盆の休暇を前に、ぼちぼち夏の計画を立てる職場の人が多く見られます。自分も管理職といえども夏季休業は取ろうと思います。今夏の予定は、 […]
  • 楽しかった「空想の建築」展 このところ美術展によく出かけています。感想の機会を改めて持つと断言しているので、最近出かけた順番に展覧会の感想をアップしていきます。まず、連休中に出かけた町田市立国際版画美術館。同館で開催していた「 […]

Comments are closed.