形而上学神学の否定について

哲学者ニーチェは「神は死んだ」として神に替わる超人を作り出しました。「ツァラトストラかく語りき」(ニーチェ著 竹山道雄訳 新潮社)の「幸福の島」の章にこんな一文があります。「神とは、すべての正しきものを歪め、すべての直立せるものを捻転せしむるところの思想である。そうではないか?もし完全なる神というごときものがありとせば、時間は存在しない訳ではないか?そうして、一切の過ぎゆくものは虚妄である筈ではないか?」というニーチェ独特の主張です。これに対し訳者による解説が加えられています。「ツァラトストラは時間空間の内に存在する現実のみを唯一の実在と認め、仮象の外に立つ本体というごときものを否定する。もし完全永久不滅なる神の存在を認めるとすれば、この現実世界は仮象であり、虚妄にすぎぬ、という結論に達する。形而上学神学のかかる前提はツァラトストラにとって堪えがたいことである。」こうした神の死を論じたニーチェは実存主義を唱えた先駆者と言えます。ニーチェに続く未完の大作「時間と存在」を著したハイデッガーは次世代に入る哲学者で、さらに実存主義はフランス人哲学者サルトルによって広がりを見せました。雑駁な考え方で言えば、自分は系譜的にはこうした思考に同意するところがあるので、自分なりの研鑽を積んでいきたいと思っています。

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