厭世主義否定の思考を示す

哲学者ニーチェは若い頃にショーペンハウワー著「意志と表層の世界」を読んで、厭世主義に貫かれた哲学に傾倒したことがあったようです。自分はニーチェ著「悲劇の誕生」を読んで、その源泉を探るべく「意志と表層の世界」を読んだわけですが、自分もショーペンハウワーの大著作に圧倒されました。ショーペンハウワーの生涯をかけて展開された共苦的な厭世主義の哲学は、衝撃を与えられることは請け合いですが、自分にとって何かしっくりいかない感覚が残りました。世界は苦悩で満ちているという発想は人生観を活性化する裏返しのようなものではないかと感じ、自分は共苦的な厭世主義に陥らないようにしたいと思いました。「ツァラトストラかく語りき」(ニーチェ著 竹山道雄訳 新潮社)では厭世主義を否定する箇所があったので注目しました。抜粋して引用いたします。「もしこれらの人々『厭世主義者』が衷心よりの同情者であるならば、かれらはかれらの隣人に、その生をより厭悪すべきものと為す筈ではないか。悪意あること、之がかれらの真の慈悲である筈ではないか。」解説によれば「かかる隣人への同情を説く厭世主義もまた論理的に矛盾である。人にしてもし真の厭世主義を奉ずるならば、隣人をもこの人生から逃れやすくしてやるべき筈ではないか。隣人にはむしろ峻酷な態度を以て対して、その生をより厭わしきものにしてやるべき筈である。」とあります。厭世主義に対する姿勢がよく表れている箇所だと思います。

関連する投稿

  • 「絵の証言」を読み始める 「絵の証言」(佃堅輔著 […]
  • 週末 梱包作業&美術館鑑賞 今日は梅雨らしい鬱々とした天気でした。午前中は昨日から続いている作品の梱包作業をやっていました。今日は若いスタッフが2人朝から来ていて、それぞれ制作に励んでいましたが、10時半頃スタッフ2人と家内を […]
  • ドイツ表現派に纏わる雑感 現在、通勤中に読んでいる「触れ合う造形」(佃堅輔著 西田書店)と、職場に持ち込んで休憩中に読んでいる「見えないものを見る カンディンスキー論」(ミシェル・アンリ著 青木研二訳 […]
  • 「精神的苦闘」ユーロ・レヴィン 私は20代の頃、5年間もウィーンに滞在していたにも関わらず、戦争の傷跡には目もくれず、ひたすらアートの動向ばかりに注目していました。美術館に展示されている現代芸術作品の中にはホロコーストが及ぼした深 […]
  • さまざまな女性像の深淵 現在読んでいる「触れ合う造形」(佃堅輔著 […]

Comments are closed.