鎌倉の「加納光於展」

画家加納光於は80歳になる現役で、最近制作した作品が個展会場である神奈川県立近代美術館鎌倉館に展示されていました。自分が加納光於という画家を知ったのは学生時代の頃で、その頃大きな版画コンクールで加納光於は賞を重ねていました。不思議なマチエールはどのようにして作られるのだろうと思いつつ、縦横無尽に走る色彩の奔放さに憧れさえ抱いていました。この展覧会で自分にとっては初めてとなる加納光於の初期の版画に触れました。鬱積した心理が不思議な生命体として存在しているモノクロの銅版画に心が揺さぶられました。初期の作品は、多くの芸術家がそうであるように加納光於も迷いを抱きながら、それでも自己内面の深い部分に触れた表現が出ていました。その後に続く色彩に溢れた展開はまさに加納光於らしい世界の創出と言えるもので、図録のコトバを借りれば「多くの傑出した同時代詩人たちの言葉が加納光於の作品を囲繞し豊穣に生い茂った」多作の時期を迎えます。詩と造形のコラボレーション。まさに自分が憧れている世界を歩んできた芸術家の生涯で、加納光於の作品にコトバを寄せた詩人は綺羅星の如くいて羨ましさを覚えます。その中で詩人大岡信との共同制作による箱型オブジェ「アララットの船あるいは空の蜜」のオリジナルを初めて見ました。こんなにも大きな作品だったのかと改めて思いました。

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