ターナーの豊潤な空気感

先日、東京都美術館で開催されている「ターナー展」に行ってきました。家内は学生時代からターナーのファンで、帆船を描いた絵画を大学に提出する課題に応用していたようです。家内は大学で空間演出デザインを学んでいて、舞台美術を考える際、ターナーの求めた光陰が常に頭にあったと言っていました。私はリード著「芸術の意味」によってターナーを知りました。私の場合は初めに知識ありきで、オリジナルを見たのはずっと後でした。今回ターナーの世界に触れ、筆致が豊潤な空気感を表して余りある表現に圧倒されました。色彩実験と称する作品にも表現しようとする何かの意図が読み取れました。絵画の絵画たる所以は、平面に深遠なる奥行きを感じさせ、また漂う空気は写真や影像とは異なる印象を鑑賞者に齎すものと理解しました。私は忽ちターナーの世界に入り込み、そこで新鮮な酸素を胸いっぱいに吸い込んで、光に包まれる息吹きを感じ取っていました。家内は涙が出そうなほど感動していて、ターナーが醸し出す表現を、自分の演奏活動に当て嵌めて、その情感表出の丁寧さを感じ取っていました。有名な巨匠のまとまった展覧会とあって、多少の混雑は覚悟して来ましたが、それでも優れたものとの出会いは何事にも代えがたいと感じました。

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