地を這うカタチ「発掘~増殖~」

地を這うカタチとして制作を続けている新作に「発掘~増殖~」という題名をつけました。無限に広がっていく植物的な生命体が脳裏にあって、当初は画廊空間全体に蔓延らせるイメージがありました。大地を這うように広がるのは無計画な都市形態にも通じて、その動きを強調するため曲面を用いた有機形態にしました。無限に増殖して大地を蝕んでいくような動的な雰囲気を鑑賞者側が感じ取ってくれれば「発掘~増殖~」の意図が伝わったことになります。どこまでも広がっていく作品を陶彫で作るためには連結した集合体で表さざるをえません。これは私の常套手段で複数部品を繋げて広げていきます。前作でも都市とも昆虫ともつかないカタチを作り、そのカタチを木彫で作った疑似大地に埋没させました。かつて繁栄を極めた都市国家が没落し、遺構として現存している風景がイメージの基盤にあるので、自分は黒褐色になる陶彫に出土品のような素材感が漂うのを楽しんでいます。この陶彫を用いて、さらに様々な展開が可能と考えているところです。

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