風景の変貌

通勤に使うバス停留所の近くに大きな旧家がありました。立派な石垣と太い樹木に囲まれた屋敷で、そこには自分と同じ歳の少年がいて、幼い頃よく遊んでいました。少年と書いた訳は、子供の頃に彼は事故で他界していたからです。私たちは悪戯好きで、彼の屋敷の裏山に廃材で棲家を作り、忍者ごっこをやった思い出があります。最近大きな屋敷に住む人がいなくなったと聞いていましたが、先日大きな樹木が切り倒され、屋敷も無くなっていました。こんなに広かったのかと改めて整地された土地を眺めて思いました。自分が幼かった頃は、このあたりは田畑が続き、家も疎らで、雑木林が点在していました。道は舗装がなく、たまに通るオート三輪が砂埃を舞い上げていました。牛にひかれた荷車も通っていきました。横浜市のベッドタウン化した現在の環境を考えると、信じられないくらい風景が変貌を遂げています。自分の記憶が更新されて、昔の道幅や田畑の尺度が掴めません。少なくても樹齢100年以上の樹木は残せなかったものか懐古に耽る自分は、ただ眼前で変貌していく風景を眺めているだけです。

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