読書に夢中になって慌てた日

通勤時間帯に読んでいる「ヨーゼフ・ボイスの足型」(若江漢字 酒井忠康共著 みすず書房)に夢中になっていたところ、降りる駅のアナウンスが流れて、ドキっとしたことがありました。読書はその中に自分が入り込んでしまうと、周囲が見えなくなり、突如耳を掠めるアナウンスに慌てることが多々あります。朝の通勤で自分は敢えて各駅停車を選び、ゆっくり座って読書を楽しんでいます。逆に帰りは混んで座れないため急行に乗って一刻も早く帰宅することにしています。帰途、立ったまま吊革につかまって読書の世界に耽ることは少なく、周囲が見えなくなるのは朝の出勤時に限られるのです。夢中になっていた箇所は、ヨーゼフ・ボイスが西武美術館の個展のために来日し、搬入・展示をしている場面で、館内の空間を見据えながら、作品を置いている状況が描写されていて、自分がギャラリーせいほうで作品を並べている状況に似て、ついボイスと自分を重ねてしまったのでした。ボイスの作品は置かれる場所も作品のうちとしているところがあって、その思いを巡らせていると、ボイスの言わんとしているところが見えてくるのではないか、そんな気持ちになっていました。危うく駅を乗り過ごすところでしたが、20分程度の乗車時間が一瞬の如く過ぎていきました。

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