「発掘~層塔~」制作に向けて

塔のイメージが頭を過ったのは今年初めの頃でした。まだ「発掘~地殻~」の制作が佳境に入っていて木材に鑿を振っていた時でした。こんな時にどうして別の作品のことが頭に浮かぶのか自分でも理解できませんが、ひとつ作品を完成させ、順序良く次作に取りかかることは今まで一度もなく、現行の制作に苦しみながら模索を続けている時に、突如新たなイメージが降ってきて、急き立てられるように新作への導入が始まってしまいます。私はいつもイメージを先行させるため、今まで培った技法が役に立たない場合があります。曖昧なイメージを具現化するために何をするか、構造体をどの素材を使って作るのか、基盤にするものはあっても前作と表現方法が変わるので、毎回新しい課題に挑むことになります。新作は円錐構造を持つ陶彫集合体をどう作るのか考えました。題名にした層塔とは三重塔や五重塔のような仏塔を総称するものですが、作品に宗教的意図はありません。旧約聖書にあるバベルの塔には驕りを諭す寓話がありますが、「発掘~層塔~」には虚構都市という末路を見据えて、残骸として存在するモノに社会性を込めていて、受け手がそこで何かを感じ取っていただければ幸いと思っています。鑑賞者の解釈に作品を委ねることで、いろいろな感想をいただけることが作者冥利につきると考えているのです。

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