創作活動の連帯感

自分が大学で彫刻を学んでいる時は、同じ志を持った多くの仲間がいました。当時は仲間の習作に刺激を与えられ影響も受けました。大学卒業とともにそうした環境が失われ、その後は自分一人で制作する日々が続いています。大学時代の仲間は地方に住んで制作をしているので滅多に会えず、今夏の個展の時に久しぶりに旧交を温めた次第です。その中で自分の後輩が、自分に近い環境で制作していて、たまに工房を訪ねてきます。彫刻は個々の創作活動ではありますが、後輩との連帯感を持てることの幸せを感じるのです。池田宗弘先生との師弟関係も自分にとっては大切ですが、まずは同じ市内に住み、同じ二足の草鞋生活を送る後輩から自分は元気をもらっています。後輩は廃材となった生徒机の天板を素材に使う木彫家です。二科会に応募を続けていて、今回も入選を果たしたので彼の新作を見に行きました。積層の木材を彫り込み、蔦が蔓延るような有機的な生命体を感じさせ、紐状に彫られた部分は束ねられたり、解かれたりして空間を縦横に走ります。今回注目したのは紐状の形態に囲まれた内臓空間です。H・ムアの彫刻以来、空洞のある彫刻は珍しくなくなりましたが、作品を軽やかに大きく見せられるので、空間の扱いとしては有効だと思います。彼がますます発展していくように願って、東京国立新美術館を後にしました。

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