渦巻紋との関わり

現在読んでいる「渦巻紋と輪廻転生」(藤田英夫著 雄山閣)の最初の方にこんな記述があります。「連続した沢山の渦巻紋で太陽を表現する理由は、インドの太陽神伝説を知れば分かる。即ち『太陽神スリャは、日中は恋人の初々しい暁の女神ウシャス姫を抱き、熱愛のあまり光熱を発し、夕方に燃え尽きて暗闇となる。だが翌朝になると生まれ変わりの太陽が再び東の空へ昇る』と。ここに『偉大なる光熱を発する太陽が毎日生まれ変わるために、神々は太陽の子供、孫、ひ孫、その種子を次から次へと毎日誕生させる難事業をしておられるに違いない』という太陽を神格化した信仰が生まれ、その様子を沢山の渦巻紋に描き、太陽の永遠の生まれ変わりを祈るようになったと考えられる。」渦巻紋は自分の作品にも多用しています。かねてより渦巻紋の所以を知りたかったので、太陽神伝説の論拠に興味が湧きました。自分はどうして渦巻紋を使うのか、自分のことなのに確固たる動機が見つかりません。渦巻紋は中心に導くラインと中心を巡りながら外へ広がるラインという2通りの解釈があって、形態的には集中と拡大の双方が同時に展開し、自分はそこに造形的な魅力を感じています。学術的というより感覚的な嗜好で使っていると考えざるを得ないので自分には動機が見つからないのだと思いました。つまりカタチが好きだから描いたというのが正直なところです。世界各地の遺跡に残る渦巻紋の図版を見ると、自分は思わず目が留まります。太陽神が何度も生まれ変わり女神を愛する記号が渦巻紋ならば、自分勝手な嗜好にポジティヴなイメージが加わって、ますます渦巻紋が好きになりました。現在制作中の作品には渦巻紋は出てきませんが、近々渦巻紋を再び使っていく機会がきっとあると思います。

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