「青蜥蜴の夢」読後感

「土方久功詩集 青蜥蜴の夢」(土方久功著 草原社)を読み終えました。本書の中では、とりわけ南洋群島にいた時代に書かれた詩や随筆に興味が湧きました。南洋群島の人々の触れ合いや繋がり、村の長老や娘たちの生き生きとした生活ぶりや異国情緒を感じさせる風景描写が、現実感に溢れ、時に郷愁をもって綴られていました。本書は著者が詩人として描いた世界で、造形の創作ノートではありません。土方久功が彫刻家として名を馳せた事実を考えると、海外での生活の中で、どこを切り取って造形美術にしたのか、どういう場面で作品が作られていったのか、私はそこが知りたいと思いました。本書は日常の何でもないことを題材に、目の前の現実を受け止め、または過去を振り返って思い描いた場面がよく登場します。その空気や匂いが伝わってくるコトバが多く、周囲の自然や気候の変化を捉えています。土方久功は小さな生物や植物に思いを寄せる心優しき人だったように思います。

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