欠如を補う行為

情緒が安定しない時は、周囲の人とも良好な関係が保てず、バランスを欠いていることすら気付かないことがあります。そうした中で何かを見出すことは難しいと思います。自己の内面を吐露する創作活動でさえ情緒が安定していることで凝縮した世界が表現できると考えます。才能に絶望して自ら命を絶つ芸術家がいますが、狂気となるのは一時だけで、咄嗟の出来心が悲劇を生むのではないかと推察いたします。創作は心の安定の上に立って、さらにそこに欠如を見出し、それを補う行為だと自分は考えます。逆に全て満たされては創作する魂を失い、駄作に甘んじてしまうとも考えられます。欠如を補おうとして何かを渇望し、尋常ではない集中力をもって作られたものは、鑑賞者の心を揺さ振るパワーが宿ると自分は信じています。欠如を補う行為、これが創作に限らず、全てのパワーの源かもしれません。

関連する投稿

  • 牟礼の地に思いを馳せて… 東京都美術館で開催されている「イサム・ノグチ […]
  • 週末 地域行事参加&陶彫制作 職場のある地域と、私の職場は密接な関係にあり、昨年まではあらゆる地域行事に私は職場を代表して参加しておりました。今年はコロナ渦の影響で地域行事がなくなっていましたが、小学校のグランドを借りて行なうス […]
  • 週末 土台作り&美術館散策 週末になりました。新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が出ているにも関わらず、気持ちのモチベーションを保ちたくて、今日は地元にある横浜美術館へ出かけてしまいました。早朝は工房に行き、新作の土台作り […]
  • 夏季休暇⑤ 5日間の休暇を振り返る 今日はどこかへ出かけることはしないで、今年の夏季休暇を振り返る一日にしました。7月末に2日間の夏季休暇を取りました。ここでは新潟県魚沼市を訪れて、江戸時代の彫工石川雲蝶のダイナミックな木彫に触れまし […]
  • 初心を忘れないために… 創作活動にしろ、公務員の仕事にしろ、それを始めた頃の自分はどうだったのか、初心を忘れないようにしたいと日頃から私は考えるようにしています。とりわけ創作活動において慣れは禁物です。造形美術の場合は技法 […]

Comments are closed.