「貴婦人と一角獣展」の巨大綴織
2013年 6月 14日 金曜日
先日、東京六本木にある国立新美術館で開催中の「貴婦人と一角獣展」を観てきました。大きな展示室に6点の巨大なタペストリー(仏語:タペスリー)が飾られた空間は圧巻で、補色である紅色と深緑の色彩が織りなす画面に見入ってしまいました。平織(綴織)は自分の大好きな技法のひとつで、30歳で滞欧生活を切り上げる時に、トルコで平織の絨毯を購入しました。そこに表れる図像を読み解くのも面白いと思います。今回の「貴婦人と一角獣展」では「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」という本能に因むタイトル5点と「我が唯一の望み」というタイトルがついた作品1点があり、大きな展示室を囲むように展示されていました。周囲の部屋にはタペストリーに関連した資料の展示がありました。一緒に行った家内は、1点ずつ織り込まれた貴婦人の相貌を見て、それぞれ年齢が異なるのではないかと推察していました。私は「我が唯一の望み」とは何を意味するのか、五感を総括するものなのか、何故この貴婦人だけに天蓋がついているのかをボンヤリ考えていました。謎の多い作品だけに魅力的に見えるのかもしれません。いずれにせよ圧倒される作品であることに間違いなく一見に値するものと思いました。
関連する投稿
- 映画「猫が教えてくれたこと」雑感 先日、家内と横浜のミニシアターにトルコ映画「猫が教えてくれたこと」を観に行ってきました。舞台となったイスタンブールは、海岸に面した東西交易が織りなす情緒豊かな都会です。私は20代の頃に滞欧生活を引き […]
- 黒海を臨むキリスト教寺院 黒海沿岸のトラブゾンに到着したのはトルコに来て2ヶ月を過ぎていました。ここで印象深かったのは焼き魚でした。イスタンブール同様に港で魚を焼いていて、その一匹をタダで頂きました。よほど金銭がない旅行者に […]
- 旅と旅行に関する私見 家内が「どこかへ旅行するというと辛さを覚える」と言うので、「何故?」と聞くと、若い頃に滞欧生活を引き上げる際、バスを乗り継ぎながらトルコやギリシャを数ヶ月かけて旅したこと、そればかりではなくヒッチハ […]
- ネムルト山登頂記 トルコの東アナトリアに位置する標高2150Mのネムルト山頂に遺跡があると聞いて、現地でミニバスツアーに参加しました。私たち夫婦の他に西欧から来た数人の旅行者がいました。小さなバスで山頂を目指し、やが […]
- カッパドキア奇岩群 カッパドキアを知ったのは学生時代に神田の古本屋街で立ち読みした古い美術雑誌に掲載されていた白黒写真からでした。地球上のものとは思えない不思議な世界に驚いて、思わずその古本を買ってしまったのでした。そ […]
Tags: トルコ, 作品, 展覧会, 散策
The entry '「貴婦人と一角獣展」の巨大綴織' was posted
on 6月 14th, 2013
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.