ドイツ在住の旧友来たる

自分は20代の頃、オーストリアの首都ウィーンに住んでいました。同地の国立美術アカデミーに通って、最初は版画科に、次に塑造科に移ってレリーフを学んでいました。今思えば素晴らしい環境に身を置いていたことに幸せを感じますが、当時はわからないドイツ語や創作上の悩みを抱えていて、環境を楽しめる心の余裕はありませんでした。そんな時に大学の先輩夫妻がやってきて、同地で交遊し、国立歌劇場でのオペラ鑑賞を一緒に楽しんだのでした。私は1985年に帰国しましたが、先輩はドイツに移住して博報堂で仕事をしていました。先日ドイツからEメールが突然届いて驚かされましたが、一時帰国した先輩と横浜中華街で会うことになりました。話はもっぱらヨーロッパのことになり、当時の空気に浸りました。美術や音楽に心酔していたあの頃を振り返ると、帰国してから公務員になった自分は忙しさを言い訳にして、やり残していることがあると思います。定年を迎えたら、あの頃に戻って、そこからもうひとつの人生をやり直したいと思うようになりました。再出発はやはりヨーロッパの地を選びたいと考えています。

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