アングラ演劇に魅せられた頃

土方巽の書物「病める舞姫」(土方巽著 白水社)を読んでいて、自分は暗黒舞踊を観たことがないにも関わらず、20代の頃によく観ていたアングラ演劇のことが懐かしく思い出されてきました。どうしてアングラ演劇が好きになったのか自分でも定かではありませんが、アングラ演劇が社会現象として当時多くの若者を惹きつけていたことは確かです。アンダーグランド(地下)文化が流行った背景として政治や社会情勢があったのかもしれませんが、自分にはそのあたりの事情がよくわかりません。ただ、不条理で辻褄が合わない内容展開がとても面白かったし、創作活動を始めたばかりの自分には、そうした劇空間に活力をもらえたことが良かったと述懐しています。野外演劇あり、テント小屋あり、都会の中の小劇場もあって、謎に満ちた秘めたる空間に入っていくことで気持ちが昂り、そこで繰り広げられる幻想と現実が交差する演劇に没入していきました。役者の鍛えこまれた肉体、機関銃のように発射する台詞、轟く効果音に感覚が痺れてきて、観客である私たちはムシロの上にギュウギュウ詰めに座っているのさえ忘れてしまうのでした。前段階としてダダやシュルレアリスムの運動がありましたが、時代が既成概念を壊し、新たなものを創造しようとする気概があったのではないかと当時を振り返っています。

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