週末 制作と鑑賞の狭間で…

自分の制作には思索あり、他の作品の鑑賞もまた思索あり、で制作時間に追われているのは重々承知の上で、今日の午後は美術館に出かけてしまいました。午前中は午後の時間を空けるため、木彫の作業に集中力をもって取り組みました。そうまでして行きたかった美術館は、横浜から遠い千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館です。現在開催中の「BLACKS展」のルイーズ・ニーヴェルスンの彫刻を見たかったのです。ルイーズ・ニーヴェルスンの黒く彩色した箱形の立体は、かなり前から注目していたにも関わらず、まとまった展示が見られませんでした。所蔵されている日本の美術館も少ないため、今回の機会を逃すとルイーズ・ニーヴェルスンの世界を体感するのが難しいと思えたからでした。このところ金曜日の夜に東京の美術館に出かけていますが、千葉まで足を伸ばすのはウィークディは無理と思い、そこで今日しかないかなぁと考えました。厳しいスケジュールの中でわざわざ千葉まで車を飛ばす意義はあるかと、午前のうちは木を彫りながら自問していましたが、やはり行って良かったと思いました。彫刻は実物を皮膚感覚で味わう必要があること、それにより自分の制作に繋がる思索を深められたことが大きな収穫でした。「BLACKS展」やルイーズ・ニーヴェルスンの立体作品については後日改めて書きたいと思いますが、今日はDIC川村記念美術館の庭園にある桜や木瓜、木蓮の花が一斉に咲き乱れ、一緒に来た家内も大喜びでした。年度末最終日に自然からの煌びやかな贈り物を頂いた気がしました。

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