「彫刻家との対話」読後感

「彫刻家との対話」(酒井忠康著 未知谷)を通勤電車の中でとつおいつ読みました。前に同じ著者による「彫刻家への手紙」を読んだ時に、現代彫刻に対する評論、というより幾重にも重なりあう思索を知り得て、自分が彫刻家の端くれで曲がりなりにも現代を意識しているモノを作っていることを改めて考え直す契機になりました。彫刻に関する評論は、自分にとっては大変身近な哲学であると認識しています。今回読んだ「彫刻家との対話」でも、たとえば本書の前に読んでいたゲーテの美術評論に比べると、現状の社会生活に中に存在する空間造形の価値が示されていて、自分の制作に直接繋がるものを感じます。現代の造形表現の多様化に対し、それを論じる人の視点や解釈も多種多様になって、本書には一筋縄ではいかない面白さがありました。あとがきに「彫刻のメタファーを触媒とすることによって、少なくても人間的なかかわりの領域にこうした問題(不思議を解明する手立て)を連れ戻すことができるのではないか(略)」とありますが、彫刻は人が創出するもので、人の思索の具現化であると考えます。理解できないものをどう読み解くか、自分も他の彫刻家の作る世界に接した時に、解らないでは済まさない姿勢で臨んでいます。

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