架空の工房に遊ぶ

植木畑の中に建つ相原工房は、制作途中の作品がかなりの空間を占めて所狭しと置いてあります。これは現実の工房の状況ですが、自分が寝床に就く時に気儘に思い描く架空の工房があります。そこは相原工房よりずっと狭く、まだ学生生活を送っている若かりし頃の自分がいます。もう一度人生をやり直せたらどうするだろうと考えていたことが夢に登場したのでした。ずっと以前は半地下になった住居兼工房が夢に出てきましたが、それはウィーンに住む邦人彫刻家宅がイメージの源泉になっていました。最近出てくる架空の工房は、大きなビルの1階部分にあります。高層マンションの1階駐車場の片隅にある工房という按配です。工房には住居部分がありますが、そこはあまり定かではなく、壁一面に格子状の棚があって、習作雛型がたくさん並んでいるのです。学生時代にもっと試行錯誤して雛型を多く作るべきだったと後悔している自分が投影されているように思えます。素材も紙、石膏、鉄があって、抽象的な形態も数多く屑鉄で人体を作った作品もありました。これは師匠である池田宗弘先生の真鍮直付けの影響があるのかもしれません。学生時代に金属がやれたらよかったと思っているところもあるので、架空の工房では鉄に対する憧れにも似た気持ちが出ているのでしょう。高層マンションのイメージの出所は、今の職場から銀行に会計処理で出かける時に見えるマンションの景色がそのまま夢に出ているのです。1階の工房は完全な自分の創作です。その夢に人は出てきません。他者と関わりのない自己表現世界があるだけです。

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