「マチスの肖像」の読後感

「マチスの肖像」(ハイデン・ヘラー著 天野知香訳 青土社)を読み終えました。マチスは画集「ジャズ」やヴァンス礼拝堂という晩年の作品が自分にとって印象的な画家ですが、生い立ちから修行時代、不遇な時代を経て、ロシアやアメリカのコレクターに認められ、ピカソとともに20世紀を代表する巨匠に上り詰めるまでを本書は分かりやすく綴っています。マチスは色彩によって絵画の価値観を変え、構成も抽象化・平面化していきました。これは後に続く芸術家たちの非対象作品への道を切り開いたものであったように思います。マチスが愛したアラベスクは、自分も影響され、洋の東西を問わず世界各地の文様の素晴らしさに目を瞠るようになりました。マチスの洗練された線描も、自分が美しいと感じるデッサンのひとつとなっています。次にマチス自ら著した「画家のノート」がどこかの書店で見つかれば、これも読んでみたいと思っています。本書の最後に掲載されていたマチスの言葉で締めくくります。「私は忍耐強く木のマッスが、それから木そのものが、幹、枝、葉…がどのようにできているかをつかみ取らなければならない。木と一体化した後、私は木に似た対象を創造しなければならない。つまり木の記号を。」

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