「一銭五厘の旗」読後感

暮しの手帖社から出版されている「一銭五厘の旗」は同誌編集長であり、表紙や挿絵も描いた故花森安治の、人柄を偲ばせる文章が満載された書籍でした。歯に衣着せぬとはこのことを言うのでしょう。滑舌のいい喋り口調で、当時の社会問題をバッサリやっていく独自のスタイルは、今読んでいても古さを感じさせないばかりか、現在でも通用する箇所がいたるところに見られます。身近な問題で言えば「8分間の空白」にあった消防車が到着するまでの時間が8分から10分、その間に発見者が初期消火をしなければならない、街が複雑さを呈している今は消防車の到着を待っていられない、という趣旨の文章でしたが、現在でもこれはそのまま通用する重大な危機管理だと思いました。その他にも数え上げればキリがないくらいの問題提起がされていました。大衆雑誌であるには違いない「暮しの手帖」ですが、人々に豊かな暮らしを提供するために商品テストや優れた論評を掲載した類稀なる雑誌であったことが窺える一面がありました。編集部の努力も垣間見える「一銭五厘の旗」でした。

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