ポーランド・ポスター「三人の女性」

先日、ヨコハマ創造都市センターで開催されている「ポーランド・ポスター展」を見に行って、何気なさに惹かれた一枚のポスターがありました。図録では大きく取り上げられることもなく、鑑賞者が立ち止まってみるような刺激的な要素の少ないポスターでしたが、その簡潔な表現に目が留まりました。作者はミェチスワフ・ヴァシレフスキで、スプーンとフォークとナイフの3つのシルエットが、ほんの僅かデフォルメされて女性のシルエットに見えるというポスターでした。ポスターは宣伝効果をまず第一に考えますが、道行く人の心をキャッチするために過激な色や奇抜な発想でなくても、その単純さと構成の美しさで十分印象に残るものが出来ると思います。そういう意味でも伝える内容に相応しいポスターがいいのではないかと思うこの頃です。商品を思い描く時はデザインとともに思い描くことが多いと感じます。長く愛されるデザインには、人の心に長く留める仕掛けがあると思います。発想の面白さだけでなく、時代に定着するデザインとは何か、「三人の女性」をデザインしたポスターの前で、暫し考えさせられた一場面でした。

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