横浜の「ポーランド・ポスター展」

オーストリアで暮らしていた若い頃、ソビエト連邦を中心とする社会主義体制の東欧諸国の中にポーランドがありました。ポーランドは行ってみたい国のひとつでしたが、ついに足を踏み入れることなく帰国してしまいました。首都ワルシャワや古都クラコウはポスターや版画の国際コンクールがあり、ポーランド人は美術的にも優れた感覚を持つ国民性があることは知っていました。ハンガリーやルーマニアに出かけていたのに何故ポーランドに行かなかったのか帰国した後になって悔やみました。現在横浜の馬車道にあるヨコハマ創造都市センターで「ポーランド・ポスター展」が開催されているので早速見てきました。時代的な背景もあり、プロレタリアアートの影を残すポスターもありましたが、そこから斬新なデザインが生まれ、自由な発想を獲得していました。自分が大学受験で行ったデザインの基礎的な学習を思い出すほど、展示されたポスターは構成等の基本に忠実で、しかも真摯に作られている状況が見て取れました。ポスターとは何か、という問いかけから始まる動機が、情報過多でデジタル処理に慣れた現代の眼からすれば、とても新鮮で明快なビジュアルとしての主張を感じました。今回は雑駁な感想に留めますが、気になった作品は改めて取り上げたいと思います。

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