造形の素材変換

かつて木彫によるテーブル彫刻「構築~包囲~」と「構築~解放~」を作りました。サークル状の厚板を複数の細い柱で支える構造で、量というよりは線と面で構成される軽やかな作品として作ったつもりです。この作品の造形イメージを陶彫で表現するとすれば、線や面ではなく量として表すことになります。次なるイメージとしては「構築~包囲~」の陶彫変換として、大きな円錐状に陶彫部品を張巡らし、周囲の床にも陶彫部品を配置して、うず高く積もれた陶彫による円錐形を考えています。「構築~解放~」の陶彫変換としては、クレーターのような窪みを陶彫部品を床に配置して表現しようと考えています。内なるものと外へ広がるもの。プラスとマイナス。凸と凹。「構築~包囲~」も「構築~解放~」も基本的なカタチとしてのイメージは相対する2つの要素をもっていて、それが木彫であろうと陶彫であろうと同じコンセプトでやっていきたいと思います。同じ要素から発展するカタチ。素材が異なれば作品の構造が変わり、それによって空間の雰囲気も変わってきます。イメージの出所が同じである場合でも、素材は彫刻にとっては重要で、印象としてはまるで違う作品になっていくのです。次なるイメージは円錐形の陶彫による集合彫刻です。

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