西洋の没落「アラビヤ文化の諸問題」そのⅡ

「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の第二巻を読んでいます。そのⅡとした副題は「マギ的な魂」です。第一巻からマギ的という語彙が登場していますが、この章では世界各地で興った宗教に関しての論述が中心になっています。マギ的な魂とは何か、改めてその意味するところを書き出してみました。「マギ的な魂の『いつ』は『どこ』からの結果として生ずる。それは~略~点状の現在に固着するアポルロン的なものではなく、さらに同様にして無限に遠い目標に向かうファウストの推迫でもない。ここでは現存在は異なった拍子を有しているのであり、覚醒存在にとってはマギ的な空間の対立概念としての時間の意義ではない。きわめて貧しい奴隷や坦夫から予言者やカリファにいたるこの文化の人間がキスメットとして自己の上に感ずる第一のものは、失われた瞬間を決して再現させないところの時間の無限の経過ではなく、動かし難く定められた『これらの日』の初めと終わりである。そうして人間的な現存在はこれらの日々の間に最初から一定の位置を占めているのである。世界空間だけでなく、世界時間もまた空洞状である。」「マギ的諸宗教の群れの歴史~略~は精神と発展との分離すべからざる統一を形成する。そうしてこれら諸宗教の一つを他のものと切り離してそれ自身実際に理解しうると考えてはならない。この歴史の発生、発達および内的確立は0-500年の時代にわたっている。これは正確にクリュニー運動から宗教改革までの西洋の興隆に相当している。相互的な交換。粉乱した豊富な開花と成熟と変形。重畳と移動と適応と排斥。これがこれらの世紀にみち満ちているのであって、一つの体系が他の体系に依拠することもなく、たんに形態と組織とが変えられるのみである。その根底にとどまっているものはつねに同一の精神態であって、この諸宗教の世界のあらゆる言語で自身を表明しているのである。」

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.