「地殻」「連築」…タイトルとは?

作品にどんなタイトルをつけるか、自分は制作途中でコトバが出てくるまで無題のまま仕事を進めます。初めにイメージがあってもコトバはないのです。作家によっては、初めにコトバありき、という人もいるでしょう。若い頃、自分はタイトルなんてどうでもいいと思っていました。それがいつの間にかタイトルを気にするようになりました。鑑賞者へのサービス?なのか、自分の創作の確認のためなのか、自分のことながら、どうしてタイトルをつけるようになったのか、自分でもよくわかりません。コトバには学生時代から興味関心がありました。詩的イメージと形体イメージがうまく噛み合わないせいか、コトバで発してしまうと造形作品が別のものに見えてしまうのです。そこでタイトルは最小のコトバで表すことにしました。発掘、構築、住居、鳥瞰、混在、場…という基本的には1文字ないしは2文字をタイトルに当てることにしたのです。しかも平易な語彙を選んでいます。造形作品とコトバの有機的な関係を模索したい自分には、タイトルをありきたりで退屈な語彙に収めてしまうのが残念でなりませんが、自己の造形理論を深化させて導き出した造語でいくより、今のままのほうが気が楽かなぁと思っています。現在、制作中の新作屏風は「地殻」というタイトルを思いつきました。また、大きな壁が繋がっていく床置きの新作は「連築」というタイトルにしようと思っています。「連築」は造語ですが、見たとおりのままの印象で決めました。タイトルも作品制作の上では、楽しみのひとつであると思います。自分はありきたりのタイトルをつけていますが、このタイトルでも全て羅列すれば自分の世界が見えてくるものかもしれません。

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