西洋の没落「都市と民族と」そのⅠ

「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の第二巻を読んでいます。第2章「都市と民族と」に入り、そのⅠとした副題は「都市の魂」を主題にするものです。都市とはいかなるものか、その発生から没落に至る経緯が様々な観点から述べられています。気に留めた箇所を書き出します。「原始の人間は流浪する動物であり、その覚醒存在が一生を通じて休みなく模索する現存在であり、純然たる小宇宙であって、場所にも束縛されず、故郷もなく、鋭敏で臆病な感覚を持ち、たえず敵である自然から何物かを取ろうとしているのである。深い変化は農業とともに初めて生じた。ーというのは、これは漁師にも牧人にも全然縁のない人為的なものだからである。耕したり、鋤いたりする者は自然から強奪しようとするのではなく、自然を変えようとするものである。植えるということは何物かをとることではなく、何物かを生み出すことである。しかしこれとともに人間自身植物になる。すなわち農民になるのである。人はその耕すところの地面に根をおろす。」「文化の初期時代が都市といなかとの争闘を意味するとすれば、文明とは都市の勝利であって、文明はこれによって土から解放されるとともに、自ら没落していくのである。根もなく、宇宙的なものに無感覚となり、そうして不可避的に石と知能の手に落ちた文明は、自己の本質のあらゆる特徴を再現する一つの形態語を発生させる。」

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