横浜そごうの「いのくまさん」
2012年 8月 3日 金曜日
先日、出張先から帰る途中に横浜駅で楽しいポスターが目に入りました。平仮名で「いのくまさん」と書かれ、落書きのような猫の群像があって、思わず横浜そごう美術館に足を運んでしまいました。それは画家猪熊弦一郎と詩人谷川修太郎がコラボレーションした絵本の原画を並べた展覧会でした。かつて香川県に行った際に丸亀駅前にあった現代的な猪熊弦一郎美術館を見て、その空間の爽やかさに我を忘れましたが、今回の展覧会を見て、その時の印象が甦ってきました。落書きのように描かれた顔、でもなかなかこんなふうに描けない独特な世界観を持っている猪熊弦一郎ですが、若かりし頃はマチスの影響が見られたり、ピカソの青の時代を彷彿とさせる具象的な絵画があって、猪熊ワールドに辿りつくまでの紆余曲折の画業がこの展覧会で垣間見られました。自分は猪熊弦一郎が渡米してからの作品が好きです。ニューヨークの都市の構築と混雑が入り乱れていて、色数が少ないにも関わらず明快な色彩にインパクトを感じます。先週訪れた村井正誠記念美術館もざっくりした抽象絵画が印象的でした。村井正誠が1905年生まれで1999年没、猪熊弦一郎が1902年生まれで1993年没。2人が活躍していた日本の美術界は、大戦をはさんで革新的な機運が高まりつつあった時代です。そんな中で自己を貫いた芸術家魂に心が打たれました。
関連する投稿
- 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
- 上野の「バルティス展」 先日、東京上野の都立美術館で開催されている「バルティス展」に行ってきました。テレビやポスターの宣伝効果があって、自分もあまり知るところがなかった巨匠の作品を一目見ようと出かけたのでした。露わなポーズ […]
- 土練りのあと美術館へ… 成形に使う陶土がなくなり土練りをしました。陶彫は土を単身ではなく複数の土を混ぜて使っているのです。近々新しい土錬機が来るので、今使っている土錬機最後の仕事かもしれません。自分と懇意にしている陶芸業者 […]
- 週末 個展終了して美術館巡りへ 昨日、ギャラリーせいほうでの私の個展が終了しました。反省はいろいろありますが、ともあれホッとしたことは事実です。個展開催中は自分が会場にいなくても気がかりでなりませんでした。やはり終わってみると一抹 […]
- 三連休 東京の美術館巡り 三連休の中日です。今日は朝から東京の美術館巡りを行いました。一昨日NOTE(ブログ)に美術鑑賞に対する思いを書きましたが、今日はその実践日でした。巡った展覧会は4つで、いずれも表現が異なる先人達の精 […]
Tags: 作品, 展覧会, 散策, 画家, 芸術家
The entry '横浜そごうの「いのくまさん」' was posted
on 8月 3rd, 2012
and last modified on 8月 3rd, 2012 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.