内容と技巧の関係

作品を鑑賞する上で、この作品はどんな主題や主張をもつのか、何を訴えたいのかをまず考えます。同時に技巧も視覚に飛び込んできます。作品の内容とそれを具現化する技巧とは切り離せない関係があります。まだ、自分が彫塑で習作をやっていた頃は、立体としてのデッサンが覚束なく一刻も早く巧くなりたいと願っていました。技巧がある程度のレベルになると、獲得した技巧で何かを表現したくなりました。そうするとワザとらしさが出て、どうにも鑑賞に堪えられない作品になってしまいました。むしろ稚拙な技巧に翻弄されていた時期の作品の方が、深い内容をもっていたことにショックを受けました。表現とは何かをその時初めて考えました。ピカソを初めとする巨匠が破壊と創造を繰り返していた理由はここにあります。自分も技巧に溺れないように、思索を深めつつ制作をやっていきたいと思っています。

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