週末 アフリカの仮面

やっと週末になり、朝から工房に出かけて新作のためにタタラを用意していました。明日は成形の予定です。午後は家内と横浜駅に出かけました。来週父の七回忌があるので横浜のデパートに寸志を選びに行ったのです。帰りがけにアフリカ雑貨の店を覗き、アフリカの仮面を2つ買い求めました。アフリカ雑貨の店は、自分の職場からさほど遠くないところにあり、いつも銀行に行く途中で立ち止まって注目していました。ウィンドゥ越しにアフリカの木彫や泥染めの布が見えていて一度入ってみたいなぁと思っていたのです。店主はガーナ人で今日は不在だと店の女性が言っていました。なるほど店にはガーナのものが多くありました。自分はひと目でナイジェリアの白い顔をした仮面が気に入りました。「これは本物で、人によっては気にする人がいますが,大丈夫ですか?」と店の女性が言っていましたが、どんな儀式に使われたものであれ、造形的に面白ければ自分は気にならないと言って、近くにあったガーナの動物の仮面と一緒に購入しました。アフリカの仮面は、20世紀初めにピカソやモディリアーニによって現代美術の在るべき方向性として取り入れられ、その独特な造形が原始的な生命感を謳い上げていることにシュルレアリスムの作家たちも一目置いていました。自分もアフリカの仮面に造形的な刺激を受けます。地域性やそこに住まう人々の集団としての呪術的要素が漂い、人間の豊かな営みを感じることがあります。仮面は、自分にとって骨董や商品価値としての認識はなく、純粋に生命感溢れる造形を欲する素直な心情に裏打ちされたコレクションなのです。

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