東京上野の「下野昇リサイタル」

東京上野にある東京文化会館小ホールで「下野昇テノールリサイタル」がありました。声楽家下野昇は親戚です。現在76歳のテノール歌手ですが、今日の演目は全て本格派のドイツ歌曲。この年齢にして果たして歌えるものかと疑っていましたが、その堂々とした歌唱には驚くばかりでした。前のNOTE(ブログ)にも書いた覚えがありますが、自分は叔父という贔屓はいっさいしません。むしろ親戚なので厳しいことすらありますが、それを加えても実力のほどは余りあるものがあります。叔父は音楽の土壌で己と闘う声楽家です。表現が枯れることも技巧に甘えることもありません。真摯に立ち向かう姿勢が、自分を含めた観衆に感動を与えるのだと思います。モーツァルト、ベートーヴェン、マーラー、R・シュトラウスの難解な歌曲を高らかに歌い上げる叔父は、天与として体格や強い声帯に恵まれていますが、それを十分駆使し、なお精神力で音楽の真髄を築いていくところが尊敬に値するところです。自分も造形美術という世界で、どの年齢に達しても闘い続けなければならないと考えます。自分の身近にこういう存在がいるということも自分には幸運です。今日は「下野昇テノールリサイタル」の前に国立博物館平成館に立ち寄り、ボストン美術館が所有する数々の日本の名作を見てきました。その感想は次の機会に書きます。今日は音楽と美術の両輪が揃った充実の一日を過ごしました。

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