架空都市を作る

自分の作品は古代遺跡からイメージを導き出すことが多く、ちょうど都市の雛型のようなフォルムになります。インカ帝国のマチュピチュに関する展覧会が東京上野で開催されていて、それを見たことが契機になって、自分の20代の記憶と混ざり合い、次作のイメージがぼんやりと出てきました。現在制作中の「発掘~混在~」や、これから実際に作っていく「発掘~場~」のさらに向こうに位置する作品は、木彫された内部に陶彫部品が組み込まれるものです。木彫は大地を表し、陶彫が都市を形成する作品は、現在進行している作品と何ら技法的には変わるものではありません。でも自分の中では現在のものより発展した作品になっています。作品を作る傍から次なるイメージがいくつも同時に湧き出てくるのは決して珍しいことではありません。架空都市を作ることで自分の作品は一貫したテーマをもっていますが、何か刺激があってイメージが具体化することは歓迎です。最近は海外にも行かず、自分は若い頃の記憶と足を運んだ展覧会でイメージを捻り出しています。今のところそれでも良しとしていますが、いずれ近い将来に遺跡を訪ね歩く旅をしたいと切望しています。

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