クレーの交遊録
2012年 2月 27日 月曜日
短い通勤時間で「クレーの日記」(P・クレー著 南原実訳 新潮社)を読んでいます。ようやくクレーの経歴の中で、自分がよく知っている画家の名前が出てきました。カンディンスキーやマルクです。彼らの「青騎士」も登場してきました。表現主義から非対象絵画に向かいつつある時代で、自分が今まで幾度となくNOTE(ブログ)に書いてきた興味の尽きない時代です。クレーもその中で頭角を現してきたようです。日記から時代の雰囲気を読み取ろうとしていますが、やはり日記だけあって個人的な記述が多く、時代そのものを網羅することはできません。それでも新時代の芸術は多くの大衆に認知されないものの、新しい傾向の作品を扱う画廊や書店が出てきたことが伺えます。クレーが日記でアルプを売名家と書いているところは生々しくて面白いと思います。また、ベルリンの「シュトルム」のヴァルデンをこんなふうに記述しています。「彼は片ときも口から煙草をはなしたことがない。参謀のように走りまわっては、命令を下している。彼はたしかに非凡な人間だ。が、どこか片端なところがある。彼は、画など少しも好きではないのだ。ただ、画を嗅ぎ分ける才能がある。」クレーの交遊録はますます楽しくなってきました。
関連する投稿
- ドイツ表現派に纏わる雑感 現在、通勤中に読んでいる「触れ合う造形」(佃堅輔著 西田書店)と、職場に持ち込んで休憩中に読んでいる「見えないものを見る カンディンスキー論」(ミシェル・アンリ著 青木研二訳 […]
- 廃墟を描いた巨匠たち かつて人が住んでいた建物が残骸として残る廃墟。とりわけ石造建築は残骸さえ美しいと感じるのは万人にあるらしく、その欠落した建造物を多くの画家が描いています。私も時間が経過し蔦が絡まる廃墟に魅了された一 […]
- 週末 梱包作業&美術館鑑賞 今日は梅雨らしい鬱々とした天気でした。午前中は昨日から続いている作品の梱包作業をやっていました。今日は若いスタッフが2人朝から来ていて、それぞれ制作に励んでいましたが、10時半頃スタッフ2人と家内を […]
- 頭はクレーのことばかり… 通勤途中で読んでいる書籍に、頭が左右されるのは今に始まったことではありません。今「クレーの日記」(P・クレー著 南原実訳 […]
- ダダに関すること ドイツ人画家ジョージ・グロッスの生涯を論じた書物を読んでいると、ダダイズムについて自分の知識の乏しさが浮かび上がります。ダダイズムは既成の芸術を壊した運動としか自分は理解していませんでしたが、それを […]
Tags: ドイツ, 書籍, 画家, 芸術家
The entry 'クレーの交遊録' was posted
on 2月 27th, 2012
and last modified on 2月 27th, 2012 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.