頭はクレーのことばかり…

通勤途中で読んでいる書籍に、頭が左右されるのは今に始まったことではありません。今「クレーの日記」(P・クレー著 南原実訳 新潮社)を読んでいるので、頭の中はクレーのことばかりです。パウル・クレーはスイス生まれの画家で、ドイツを舞台に活躍した芸術家として近現代美術の世界では避けて通れない人です。自分がクレーの作品を知ったのは高校生の頃ですが、初めはホワン・ミロと混同していました。ミロに比べるとクレーは気難しい雰囲気がして、これはスペイン系のミロとスイス・ドイツ系のクレーの民族的な違いかなと思ったりしました。クレーの造形思考の概略を知り、哲学的と捉えるにはまだ高校生だった自分には無理がありました。24歳の時、初めてドイツ(当時は西ドイツ)のミュンヘンに降り立ち、レンバッハ・ギャラリーでクレー初期の怪奇な銅版画を見て驚きました。クレーの心に眠る魑魅魍魎に自分の心は浸されました。クレーが子どものような絵を描いても、何か思索的な要素が隠されていたり、ただの落書きに終わらないのは、こうした初期の試行錯誤があったればこそと思いました。

関連する投稿

  • 画家キルヒナーと戦争
    20世紀初頭から第二次世界大戦のヒトラーの弾圧を受けるまで、ドイツは美術のエポックを迎えました。それがドイツ表現主義で、自分は学生時代から関心を寄せていました。まずコルヴィッツの版画が先陣を切って、自分の中に入り込んでき...
  • ダダに関すること
    ドイツ人画家ジョージ・グロッスの生涯を論じた書物を読んでいると、ダダイズムについて自分の知識の乏しさが浮かび上がります。ダダイズムは既成の芸術を壊した運動としか自分は理解していませんでしたが、それを言うなら印象派でも表現...
  • クレーの交遊録
    短い通勤時間で「クレーの日記」(P・クレー著 南原実訳 新潮社)を読んでいます。ようやくクレーの経歴の中で、自分がよく知っている画家の名前が出てきました。カンディンスキーやマルクです。彼らの「青騎士」も登場してきました。...
  • 知的活動と手仕事
    「キルヒナーは、1925年の自分の作品についての重要な自伝的省察において、『知的活動と手仕事の結びつきにおいて世界でもっとも美しくユニークな』芸術家という職業を彼が二元的に理解していることを明確に述べている。~略~」(「...
  • 「右手と頭脳」の読後感
    ドイツ表現主義の代表格とされる画家エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー。数少ないドイツ表現主義関連の翻訳本の中で、この「右手と頭脳」(ペーター・シュプリンガー著 前川久美子訳 三元社)にめぐり合えたのは幸いでした。かつて...

Comments are closed.