休んでばかりいた日々

家内との会話の中で、自分が10代の頃にズル休みしたことを思い出しました。高校生だった自分は嘘の体調不良を訴えて、自宅で寝て過ごしていました。窓から空を眺めていて流れる雲をいつまでも目で追いかけていました。なんとなく罪の意識がありましたが、ずっと空を登っていく自分をイメージしていました。そんな光景が浮かぶ谷川俊太郎の詩があります。こんな気持ちのいい状態をコトバに出来るなんていいなぁと感じていました。また別の日にズル休みをしていて、春の暖かい日差しの中で、自宅の前に広がる田んぼを眺めていました。田んぼの蛙が泥の上を跳ねるのを見て、蛙になったら窮屈な思いをしなくていいのにと思ったりしました。これは草野心平の詩が頭にあったのでした。当時はズル休み=心の開放=詩作への憧れといった図式があったように思います。二束の草鞋生活で暇のない生活をしている現在では、詩作など到底無理な環境にあります。何にもせず気苦労もなく心配事もない生活になれば、周囲の情景に心が動かされていくのでしょうが、そんな生活が果たしてやってくるのか今の状況では考えられません。休んでばかりいた日々。今でいう心の病から発する不登校ではなく、たまに学校をサボる程度の緩い日常。周囲にバレることもなかった時間と時間の狭間。でもサボりを今でも覚えているのは不思議です。頑張ったことなど忘れているのに…。

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