描写に飢える

幾何抽象的な作品ばかりやっていると、具象的な傾向に引き戻されていきます。これは10代の最後になって美術家を志すために精一杯やっていたデッサンの影響です。ギリシャ彫刻の模造である石膏像や静物を木炭や鉛筆で描いていました。その狭い世界の中で紆余曲折して10代から20代初めまで過ごしていました。彫塑も同じです。紙が空間に代わり、鉛筆が粘土に代わっただけで、デッサンの勉強には変わりはありませんでした。巧く描ける友人を羨んだり、蔑んだりしながら自分自身を見つめる時間を持ちました。良くも悪くも人生の過敏な時期に、自己表現の術の何たるかを考えていたことは、その後の人生に何らかの影響が出ると思っています。最近、描写がしたいと思うようになりました。こうした願望が出るのは、自分がずっと美術の世界の中に浸っていた証であると思います。今の自分にはRECORDという小さな創作活動があって、幸い描写を試みる機会があります。鉛筆ではなく描き損じが出来ないペンを使って、描写の欲望を満たしています。造形的な計画の具現化ではなく、こうした欲望もあって、それらを全て含んだものが創作行為なのだと思います。描写に飢えるのは自分にとって幸せなことで、これが続く限り創作活動は大丈夫と自負しています。

関連する投稿

  • 7月の制作目標 1年は1月元旦から始まり、12月31日の大晦日で締めくくります。職場では年度切り替えのため、4月1日から始まり、翌年の3月31日で締めくくります。私の創作活動における暦は、今月が1年間の締めくくりに […]
  • 年度末そして3月最後の週末 年度末の最終日を迎え、勤務を要しない土曜日であっても、職場では荷物の片付けや整理をする職員がいたことでしょう。私は創作活動があるため出勤はしませんでしたが、私の書類の片付けもまだ終わっていません。今 […]
  • 長かった1週間 今週より新年度が始まり、職場全体で行った式典的なイベントや、離任や退任、また着任に関わることがあって、私は役職としての挨拶が続く毎日でした。新しい体制が動き始めるこの時期は、とても長く感じました。職 […]
  • 寒さ増す11月の過ごし方 11月になりました。私は今日からネクタイを着用しています。凌ぎやすい季節になって、創作活動に拍車をかけようと思っています。新作の制作状況は、2つの塔が連立する陶彫作品を作っていますが、床に接する1段 […]
  • 薫風の5月になって… 今日から5月が始まります。このところ初夏を思わせる気候が続いていて、まさに薫風の5月といった雰囲気です。今月は新作である陶彫作品の完成を目指します。来月早々に図録用の写真撮影があるため、今月は焦りと […]

Comments are closed.